こんばんは~。

ブログに記事を上げ始めたのはつい最近なのですが、

実際に「火の鳥感想録」の続きを書くのはおよそ3年振りなので、

前のように書けるか不安ですが、「乱世編」いきま~す。



「乱世編」は文庫版を持っているのですが、

「太陽編」と並んで、上・下巻に分かれる長編作品です。



で、下巻のほうに書かれたあらすじがあまりにもひどいネタバレなので

「乱世編」のあらすじは上巻のほうから引用させていただきます。

※記事の最後の方にも書きますが、私は弁太とヒノエは死んだとは思いたくないので

この文庫版の下巻のあらすじを書いた編集の人に文句が言いたいくらいです><



初出:『マンガ少年』(
19784月号 - 19807月号)


十二世紀末。木こりの弁太と田舎娘おぶうは、

都で美しいクシを拾ったことで引き裂かれ、平家末期の抗争に巻き込まれる。

おぶうは清盛の側女に、弁太は源氏集団に組み込まれていく。

病に伏せる老いた清盛は、永遠の命が授るという火焔鳥の生血が

どうしても欲しいのだが…。


 

前の記事にちょっと書きましたが、

この「乱世編」、読後の胸糞悪さはダントツかもしれないです。



いや、つい数日前に読み直していた時も、

読んでる途中から登場人物たちが不憫で可哀想でもう……

今、この戦のない日本に生まれていることが奇跡のように感じてしまいます。
まさに、血が血で染まる「乱世編」。ストーリーが重いですね……。


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こうやってイラストにも描いていたように、

少年時代の牛若(源義経)、ヒョウタンカブリ、弁太の3人が

好きだったから、お互いを殺しあう下巻の展開は本当につらかった。




【鳳凰編】の我王が
400年を生きる「大テング」として出てきて

今際の際にこの3人に「おまえたちもあの夕日のように生きることじゃ

人の世の移ろい 時の流れのあやに動じては……

この大自然のすばらしさを…味わうことはできぬ……」と話していたのに、

大人になり、戦の渦に巻き込まれていくのが切なかったですね。



弁太が、親を殺した大嫌いな侍になる理由となったのが、超重要人物「おぶう」。

幼馴染の美少女で、弁太と将来を誓い合った許嫁でしたが、

都にさらわれた後、清盛の寵愛を受けて平家の女となります。




うん、やっぱり長いね。
下に続きます。






私、おぶうのことってあんまり好きじゃなかったんです。(断然ヒノエ派。)

「都に出たい」ばっかり言うワガママ娘で、都にさらわれてからも

その美貌で清盛の寵愛を受けたらコロッと心変わりしちゃって

弁太のことはもう過去のことにしちゃって。なーんて思って。(我ながら感じ悪いなぁ)



でも、数年ぶりに読み返したら、おぶうの気持ちがよくわかりました。

運命に翻弄され、平氏の争いに巻き込まれていく様は可哀想だったし、

弁太に会いたくても、田舎に帰りたくても、

もうどうにもできない自分の状況をわかっていたんですよね。


「弁太とのことは……もう遠いむかしの思い出になりました……」

「お上(清盛)がご臨終のときはっきりわかりました

あたしがお上をおしたいしていたことが……」

「いまとなってはもう 平氏のみなさんとともに

西国へでもどこでもおちましょう」



むしろ、運命を受け入れ、強い意志をもって行動する姿に美しさを感じました。



だからこそ、弁太の目の前でおぶうを斬り殺す義経は

本当にむごいと思ったし、弁太と同じく殺意が湧いたね。

それでも限界まで我慢した、お人よしすぎる弁太に若干イライラしつつも、

簡単に大将を裏切ったり逃げたりできないのが

侍社会だったのかなぁと思わざるを得ない。




物語の最後、上司である義経を殺して、妻であるヒノエと北へと逃げる弁太。

矢を何本も体に受けながらも、

「死んでたまっか!な……ヒノエ…」。



ページをめくると、手塚先生おなじみの

『弁太とその女房のヒノエがどこへ行ったのか

その行方を知る者はだれ一人なかった』

のナレーションとともに、森の中で朽ち果てている二人のコマ。


しかし私は、次のコマの

『津軽の果てのいい伝えでは弁太は女といっしょに

海辺から小舟にのって大陸のほうへわたっていったとされている』

のほうを信じたいなぁ。



だからさ、冒頭で言ったように、巻頭のあらすじで

「義経の傭兵として無念の死を遂げる弁太。」
と断定して書くのはヤメテーー!編集者さん!!



「今までたくさん苦しんだんだから

弁太とヒノエには幸せになってほしい、救われてほしい」と願う

こちらの気持ちを容赦なく打ち砕くのが、戦国の世の理なのでしょうか。



読後感は最悪に近い「乱世編」でしたが、

後味の悪さと作品の質はまったく関係ありません。

【火の鳥】は、やっぱり偉大な作品です!!



でも、やっぱりしばらくは読み返したくないな ^^;