こんばんは~!

百どろ祭りを終え、久々に【火の鳥】の感想録いこうと思います。

保存日時を見たら、前の記事(生命編)が519日ということで、

2か月も前になってしまってたんですね…サボりすぎたな~……


さて、今回書く『異形編』、実は私が初めて触れた【火の鳥】なんです。
初めての出会いは、NHKでアニメ化された2004年でした。


当時、
BJから手塚作品にハマり始めていたのもあったと思うのですが、

導入の暗い雰囲気に妙に惹かれた覚えがあり、

謎が謎を呼ぶ展開にぐいぐい引きつけられ、気が付いたらあっという間に

30分が終わっていました。


初めて触れた【火の鳥】作品ということもあり、

短編ながら個人的にはシリーズ中でも上位を争うくらいの傑作です!

今しょっちゅう見かけるループモノの元祖(は言いすぎかな?)とも言えそうです。



さて、あらすじは文庫版から抜粋させていただきました。


初出:『マンガ少年』(
19811月号 - 4月号)

乱世時代。残虐非情の父を憎み、その復讐のため八百比丘尼を殺す左近介。

が、やがて怖ろしい因果応報が巡ってくる……。

「罪と償い」を描く異形編。


 異形編


イラストは、メインの左近介と八百比丘尼。

終始、こんな色彩のアニメでしたね~。(関係ないけど、私は紫色が好きです)



冒頭、左近介が八百比丘尼を殺すところから物語が始まります。
八百年も生き続けている比丘尼は、自分が殺されることを知りながらも
「ほかの人間がかわってわたしとなり……
永劫にわたしの身代わりが生きつづけることになりましょう」

と不可解な言葉を遺します。


八百比丘尼を殺した後、一風呂あびる左近介。

ここで左近介が実は女性だということが判明します。

しかし可平、慕っている女性の背中を流しながら平静を装えるのが凄いよー。

(左近介がネンネのころから背中流しているっていったい幾つなのよ…?)


城へ帰ろうとする左近介と可平ですが、

舟が岸へ戻ったり、山道を降りても同じ場所へ戻ってきたりなどして、

どうしても八百比丘尼の寺から離れることが出来なくなります。

 


 

恒例のごとくまだまだ長いので、下に続きます。

110pの展開をなぞらえるだけなのに凄く長くなってしまいました……)

 




 


比丘尼の言葉通り、この場所から逃れることが出来なくなった二人。

それは、自分が男のフリから「女」に戻るのに邪魔な父親に死んでもらうため、

特効薬を作れる比丘尼を殺す=自分の利益のために人を殺すという

人道に反した行動を取った結果、火の鳥の逆鱗に触れてしまったというわけですね><



「功徳をお授けくだされ」とたくさんの村民が寺に押し掛けるので、

左近介は仕方なく比丘尼の恰好をして、本人のフリをします。

本人も、「私はあまりにも比丘尼に生き写しだ」との自覚ありです。


ここで、アホな私も何となく気づきましたよ。

もしかして、比丘尼=左近介なんじゃないか……?と。



比丘尼のフリを続けて、火の鳥の尾羽の効力で

人々を治し続ける左近介。逆行する時間の中に閉じ込められていることに

絶望しながらも、妖怪の怪我までも治そうとする左近介には、

仏の心が芽生え始めていたのかもしれませんね。


10
年が経ち(そんなに!)、ついに外の世界では左近介が生まれます。

18歳になって、自分を殺しに来ると悟る左近介(比丘尼)。

「私は一人の尼を殺した……あの尼は私だったのよ

それがめぐりめぐってまたこの私に!!」

左近介は恐れおののき、可平に泣きつきました。

夜、床に就いた夢の中で、ついに火の鳥が現れます。

外の世界は30年のあいだを何度も何度も繰り返し、

そのたびに外から新たな左近介が現れ、

比丘尼を殺しては入れ替わるのだという火の鳥。



ある意味、歴代の猿田族よりも
ヒドイ目に遭っていないか?この主人公は……。



ただし、残された
20年で無限に訪れるすべての命を救ってやれれば罪は消える、

次の30年の逆行までのほんの1日だけ、外への世界がひらくので、

もし罪が消えていれば、このカルマから逃れることが出来るというのです。



んー、乱世時代に人ひとり殺してこの罪の大きさ……。

結構、火の鳥のさじ加減というか、気分次第で罰が変わっているような気がする。



30
年後、外の世界へと開かれるその日、

左近介は可平に真実を告げ、彼を逃そうとします。

「私めは……左近介さまのいない人生など意味ありません……」

「私めは……あなたさまをおしたいしておりました」と左近介を抱きしめる可平。


従者という立場のためか、左近介が赤ん坊のころから白髪になるまで、

彼は何年彼女を見つめ続けてきたのでしょう。

「おまえの気持ちは忘れはせぬ」という左近介の言葉の次のコマで、

雨の中「むお~~~~」と叫び走る可平の姿が切ない。

悲恋って切なくてキュンとくる。彼らには結ばれてほしかったよ……。



そして、また新しい左近介が彼女を殺しにやってくる。

冒頭とまったく同じ3ページの展開が挟まれ、可平の叫び声とともに

左近介は左近介に殺されてしまいました……。


ループモノを読むのが初めてだった私は、

「手塚先生すごい!!この展開すごい!!」と大興奮。


でも、後味の悪さに胸にもやもやが残ります。

(読み直した今も、結構落ち込んでます……)

いつか、彼女が救われる時がくるのを願ってやみません。



【火の鳥】は、やっぱり偉大な作品です!!
次はいよいよ最終作となる【太陽編】ですね。

購入したので、3冊しっかり読み込まなければ!!